2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」は、震源地である熊本県だけでなく、隣接する鹿児島県の観光にも広域にわたる大きな影響を及ぼしています。
公益財団法人九州経済調査協会は、観光人流モニタリングサービス「おでかけウォッチャー」のデータを用い、地震直後(2026年8月1日~7日)の観光人流の変化に関するレポートを公表しました。今回はこのレポートから、主に鹿児島県に関するデータをピックアップして解説します。
鹿児島県全体の来訪者は前年比18.6%減少、宿泊者は15.1%減少
レポートによると、地震後(8月1日~7日)における鹿児島県全体の来訪者数は約42.4万人となり、前年同期と比べて18.6%の減少となりました。また、宿泊者数は約6.1万人で、こちらも前年から15.1%の減少を記録しています。
地震前の期間(7月14日~27日)においては、来訪者数が前年比11.7%増、宿泊者数が同17.8%増と好調に推移していたため、発災後の急激な落ち込みが際立ちます。この大幅な減少は、九州新幹線や九州自動車道が不通となったことによるアクセス制約が強く影響していると考えられます。
![]()
鹿児島市への影響と交通手段の変化 特に福岡発は前年比73.5%減
県内でもとくに影響が大きかったのが鹿児島市です。鹿児島市単体の来訪者数は前年比28.0%減、宿泊者数は同21.3%減と、県全体よりもさらに大きな減少幅となりました。平日における来訪者や宿泊者の減少率が高いという特徴も見られます。
交通手段にも変化が生じており、鹿児島中央駅での来訪が大幅に減少した一方で、九州新幹線不通の代替として航空機が利用されたため、鹿児島空港の来訪者数は前年を上回りました。鹿児島空港の来訪者の増減を発地別に見ると、主に鹿児島県内発や近畿発で大幅な増加が見られています。
しかし、福岡県発については、航空機の臨時便が設定されたものの、鹿児島中央駅での減少分が鹿児島空港での増加分を大きく上回る結果となりました。結果として、福岡県発の鹿児島市への来訪者数は前年比73.5%減と急落しています。鹿児島市への来訪者のうち福岡県発が占める割合は18.8%と高いため、この減少は市内の観光に非常に大きなインパクトを与えています。
その他の市町村の状況 影響は比較的少なめ
県内のそのほかの地域に目を向けると、市町村によって影響の度合いに差があることが分かります。
指宿市の来訪者数は前年比5.5%減にとどまり、霧島市の来訪者数も同2.4%減となっています。鹿児島市と比較すると、これらの地域では減少の度合いが小さく抑えられています。
熊本県の状況は
震源地である熊本県の状況については、地震後(8月1日~7日)の熊本県全体の来訪者数は約67.2万人で、前年比23.0%の大幅な減少となりました。全体の宿泊者数も約12.4万人で、同11.2%の減少となっています。
しかし、熊本市に限って見ると、来訪者数は前年比22.6%減であったものの、宿泊者数は同2.9%の増加となりました。この宿泊者の増加については、救護活動や報道、被災者支援、復旧工事など、通常の観光目的とは異なる業務関連の滞在需要が都市部の宿泊を下支えしたためと考えられています。
![]()
新幹線をはじめとする大動脈の不通が、鹿児島県の観光・宿泊業にどれほど深刻な影響を与えているかが、改めてデータから浮き彫りになりました。交通インフラの早期復旧と、観光需要の回復が急務となっています。